修啓 「たっだいまー!!」
ラウル「お!おかえり修け……おまえなんだ、その服は」
修啓 「あっはは、ちょっと水こぼしちゃってね。まあ、ほっといたら乾くでしょ」
悠人 「いやいや、変色してて目について仕方ないんですけど」
修啓 「じゃあ、次に移ろうか」
悠人 「また無視!?」
ラウル「悠人、強く生きろよ」
修啓 「次は4位か。ああ、彼か。なるほどねー」
悠人 「また男ですか」
ラウル「しょうがねえじゃん。このサイト、柏緒のせいで女の子少ないんだし
でも、聖雅は女の子だったろ?」
悠人 「確かにそうですけど」
修啓 「まあ、次の子はそんなに男臭プンプンって感じじゃないし、まだマシだと思うよ。
ってことで、第4位沢嶺陽くん、召かーん!!」
【風船が飛ぶ】
陽 「あ、れ?」
修啓 「やっほー、陽くん。いらっしゃーい!!」
ラウル「ありゃ、陽じゃん。へえ、4位は陽かあ」
陽 「え、修啓さんにラウルさんまで。それにそちらのかっこいい人は」
悠人 「か、かっこいいってオレのこと?」
ラウル「言われてみれば、悠人ってイケメンだったな。しかも正統派の超イケメン。
残念すぎて忘れてたけど」
悠人 「結構酷いこと言いましたよね、今」
陽 「あのー」
悠人 「あ、ごめん。オレは悠人、高2です。
今回は修啓さんやラウルさんと一緒にこの結果発表の司会を務めてます」
陽 「そうなんですか。僕は沢嶺陽、高1です。なので、敬語はやめてくださいね。
それで、結果発表て一体?」
悠人 「ああ、少し前に人気投票をやっていたことは知ってるかな?」
陽 「人気投票?そんなことやってたんですか?」
修啓 「実はやってたんだよ。たぶんキョウ先生は知ってるんじゃないかな。
僕たち三年も知ってたんだけどさ」
陽 「じゃあ、そこに飾ってある『5位:琉聖雅/イヴァ・ラッセル
7位:紫藤朱雀/樹』ってのは、もしかして」
修啓 「ああ。今までの結果だよ。それで陽くん、君は5票獲得して、第4位だったんだ」
陽 「えっ、ぼ、僕が!?第4位!?聖雅さんやイヴァを抑えて!?どうしてっ」
ラウル「そんなに驚かなくてもいいじゃん。俺はなんとなくわかるけどな」
悠人 「あ、オレもちょっとだけわかります。陽ってなんというか」
修啓 「かわいいよね」
悠人 「そうそうかわいい……じゃなくて!!」
陽 「ハハ、そうですか、かわいいですか」
悠人 「ご、ごめん、違うんだ!かわいいじゃなくて、礼儀正しくて、まっすぐな目してて」
陽 「ふふっ、ありがとうございます、悠人さん。大丈夫です、わかってますよ。
でも、本当にびっくりしましたよ。僕が4位なんて」
ラウル「まあ、陽なら票が入るだろ。俺は結構納得してるぜ」
修啓 「そうそう。なんて言ったって、元主人こ……」
ラウル「ああー!?それは禁句っ!!」
修啓 「えー、ほんとのことなのに。仕方ないなあ」
ラウル「と、とにかくだ、コメント!そう、入賞コメント頼むよ、陽!」
陽 「はあ、わかりましたけど」
悠人 「なんか必死っすね、ラウルさん」
ラウル「シャラップっ!!」
陽 「えっと、皆さんこんにちは。沢嶺陽です。
なんか、僕なんかに投票していただいたみたいで。
ちょっとびっくりしたけど、本当にありがとうございます。
でも、僕なんかのどこがよかったんだろ。だってイヴァとか聖雅さんを抜かすなんて。
今でも信じられません]
凶戲 「そうだよねー。あたしも信じられなーい」
陽 「こ、この声は……」
凶戲 「やっほー、みんな!世界のアイドル、今日香ちゃんの登場だよ!!」
ラウル「いや、アイドルって柄じゃねえだろ」
凶戲 「ん?ラウルちゃん。何か言ったぁ?」
ラウル「いえ、何でもないです」
凶戲 「うん、素直な子は大好きだよー」
陽 「じゃなくてっ!あなたって人は、どこから湧いたんですか!?
しかも僕のコメント遮って。皆さんにちゃんとお礼を言えなかったじゃないですか!」
凶戲 「だってぇ、陽くんのコメント長くてまどろっこしかったんだもん。
今日香疲れちゃった」
陽 「おいっ!!」
悠人 「あのー、こちらの可愛い女の子は……」
陽 「かっ!?」
ラウル「は、悠人!?やや、やめておけ!この人はおと……ゴフッ!!」
凶戲 「いやん、手が滑っちゃったvvこんにちはー。あたし、沢嶺今日香っていいまーす」
悠人 「あ、こんにちは。オレは悠人です」
凶戲 「悠人くんかぁ。こんなにかっこいい男の子に会えるなんて、今日香感激ぃ」
悠人 「い、いや、かっこいいなんてそんな。今日香ちゃんこそ可愛いし」
凶戲 「えー、うれしー!!悠人くんだーいすき!!」
修啓 「そっか。悠人くんって男子校だったっけ?」
悠人 「そうなんですよ。しかも全寮制だから、女っ気のなさが半端なくて」
修啓 「へえ、やっぱりキョウ先生みたいな人は珍しいんだね」
悠人 「えっ、先生?」
ラウル「いや、こんなオヤジが大量にいたら困るだろ」
悠人 「……オヤジ?」
凶戲 「あー、みんな何言っちゃってくれてるの?今日香は花の乙女だもん」
陽 「もう、何が乙女ですか。すいません、悠人さん。
この人は僕の師匠兼、義理の父親で本名・沢嶺凶戲。
正真正銘の男で今年35歳です」
悠人 「おと……」
修啓 「おーい、悠人くーん。駄目だ。凍っちゃったね」
ラウル「南無」
凶戲 「もぅ、みんなして今日香をいじめるぅ」
陽 「苛めてませんから。すいません、ラウルさん。師匠が暴走しちゃって」
ラウル「いや、俺は別に慣れてるしいいんだけどさ。てか、キョウ先生何でいるの?」
凶戲 「えー、ひどーい!自分から呼んどいてぇ」
修啓 「すいません、キョウ先生。ラウルが考えなしで」
ラウル「おまえが原因か!!」
凶戲 「でー、あたしは何のために呼ばれたのー?そろそろ教えてよ」
修啓 「そうでした。実はですね、陽くんへのお祝いメッセージをお願いしようと思いまして」
悠人 「あ、真面目な理由」
ラウル「悠人復活したんだ」
悠人 「すいません、現実逃避してました。そうですよね。
外見と性別は関係ないですよね。はは」
ラウル「もしかして、こんな奴がまだいるのかよ」
凶戲 「何か言った?」
ラウル「いや、何でもないですっ!」
凶戲 「陽くんへのお祝いメッセージか」
陽 「要らないです、結構です。熨斗つけてお返しします」
修啓 「まあまあ、そう言わずにさ。せっかくキョウ先生にも来ていただいたんだし」
陽 「修啓さん……楽しんでますね」
修啓 「あは☆」
ラウル「とにかく、さっさとやっちゃおうぜ。ってことで、キョウ先生、お願いします」
凶戲 「んー、どうしようかな。そうだな。
あたしが陽くんに会ったのは、もう数年前なんだけど、無事に大きくなってくれてよかった。
あたしも子育てなんて初めてだったし、陽くん最初は無表情だったから、本当に大変で。
よく和藍やロン先輩にも手伝ってもらったんだ。
だから、陽くんが初めて笑ってくれた時は感動したし、嬉しかったな」
陽 「師匠……」
凶戲 「今じゃあたしの身長も抜かしちゃって。本当に大きくなったね陽くん。
あたし、陽くんと出会えてよかった」
ラウル「ええ話や」
悠人 「陽、良いお父さん持ったな」
陽 「えっ」
ラウル「キョウ先生、俺あんたのこと勘違いしてた!」
陽 「いや、そうじゃなくてこれはたぶん……」
凶戲 「ってことで、4位の賞品『商品券』でお姉さんに奢ってね」
悠人 「はい?」
ラウル「おいっ!!!」
陽 「どうせそんなことだろうと思ってましたよ。
だいたい、誰が姉ですか」
ラウル「キョウ先生のバカ!!俺の感動の涙を返せ!!!」
凶戲 「えー、せっかくいい話してあげたのにー」
ラウル「そんなオチいらねえよ!!」
陽 「修啓さん、まさか賞品って本当に……」
修啓 「いやあ、これは僕でもびっくりだね。言った記憶ないんだけどな」
陽 「師匠、あんた一体どこから」
凶戲 「じゃあ修啓、その懐にある商品券あたしに渡して☆」
陽 「いやいや、あきらか間違ってるでしょ」
修啓 「はい、じゃあどうぞ」
ラウル「渡すのかよ!?」
凶戲 「ありがとvvあと、後ろに隠してる煮干は陽くんにあげていいから」
修啓 「はは、そこまでお見通しでしたか」
悠人 「いいかげん煮干ネタやめましょうよ」
陽 「はあ、師匠」
凶戲 「陽くんは煮干でも食べてもっと大きくならないと。古都がヒール履けないじゃん」
陽 「ぶっ!!し、師匠、どこからそのネタを!?」
凶戲 「えー、あたしに隠し事なんて60年早いよー。じゃあ悠人くん、今度一緒に遊ぼうね☆」
悠人 「は、はあ」
凶戲 「ふふっ、それじゃあ陽くん行くよ!修啓、ラウル、バイバーイ!」
陽 「あ、師匠!僕の賞品持っていくな!!」
【竜巻】
ラウル「行っちまったな」
悠人 「なんか、嵐のような人でしたね。というより賞品が」
修啓 「ああ、心配しなくても大丈夫だよ。
キョウ先生はお茶目だから、めちゃくちゃするけど、陽くんに悪いようにはしないからさ。
きっと先生自身も祝いたかったんだろうし、これから二人で遊びに行くんじゃないかな」
悠人 「そうなんですか?」
ラウル「まあ、服でも見繕ってやるんだろうな。趣味だし」
修啓 「陽くんもなんだかんだで、先生のこと好きだしね」
悠人 「そうですか。なら良かったです」
修啓 「さあ、じゃあそろそろ次に移ろうか。次は……ふーん。なるほどね」
悠人 「なんですか、その目は」
修啓 「いやいや、なーんでも。じゃあ早速お呼びしましょう!
第3位、『Little-boy Long Legs』より、主人公の千秋くん、召かーん!!」
悠人 「えーっ!?」
【煙】
千秋 「ゲホゲホッ!な、なんだこれは!?火事か!!大変だ、水っ!!」
?? 「いや、これは火事じゃないな。差し詰めスモークといったところだろう」
悠人 「おい、この声は」
孤次郎「やあ、悠人じゃねえか。奇遇だな、こんなところで」
悠人 「コジロー先輩。なんであんたがこんなところに。しかも千秋を抱きしめた状態で」
千秋 「てか、いいかげん放せ!フェロモン星人!!」
孤次郎「ほんとに千秋ちゃんはシャイだな」
千秋 「ちゃん言うな!!」
ラウル「うわあ、超可愛い系美少年と兄貴系の色男だ」
修啓 「ってことで、第3位、9票で千秋くん登場です☆」
千秋 「……誰だ、あんたら」
孤次郎「確かに見ない顔だな。悠人、ここはどこだ。おまえ何か知ってるんだろ」
悠人 「相変わらず先輩は鋭いな。修啓さん、なんでこの人まで呼んだんですか」
修啓 「うーん、それが僕が呼んだんじゃないんだよね。
僕は千秋くんしか呼んでないし。何かの手違いかな?」
孤次郎「ああ、それは俺のせいだな」
悠人 「は!?」
孤次郎「俺は千秋ちゃんの部屋でお茶飲んでんだけど、いきなり千秋ちゃんが透け始めてなあ。
どうにかしねえとって思って、とりあえず抱きしめてみたわけよ」
ラウル「うわー」
悠人 「とりあえず抱きしめないでください!!」
千秋 「てか、フェロモン星人。オレ前に言ったよな。
シャツのボタンを閉めずに抱きつくんじゃねえよ、変態!」
ラウル「いや、つっこみどころおかしくねえか」
孤次郎「はいはい、わかってるよ。これでいいだろ?
で、そこの七三眼鏡の奴。見たところあんたがここの責任者みたいだが、説明してもらおうか。
なんでうちの生徒に手出した?しかも、よりにもよって悠人と千秋ちゃんに」
修啓 「大丈夫、ちゃんと説明させてもらうよ。
僕は高槻修啓。神焔学園3年で、察しの通り今回の件の責任者だよ。
それで、君たちを呼び出した理由だけど、人気投票を行っていたのは知っているかい?」
孤次郎「人気投票か。理事長には聞いていないな。
それで、俺たちがその人気投票とやらに、どう関係する?」
修啓 「実は今回、僕たち神焔学園関係者と君たち獅子学園合同で人気投票を行ったんだ。
その結果、そこの千秋くんが9票獲得で第3位になったから、
お祝いのためにここまで来てもらったんだ」
千秋 「えっ、オレが3位!?」
ラウル「そうだぜ。おまえすげえな」
孤次郎「悠人は?」
修啓 「獅子学園側の司会だよ。ちなみにさっき第7位で樹君にも来てもらったんだ」
千秋 「え、樹!?どこ、どこにいるんだ!!」
悠人 「悪い、さっき先に帰ったわ」
千秋 「うー、残念。樹に会いたかったのに」
ラウル「何、千秋ちゃんは樹と仲良いの?あ、俺はラウル・ウェルズ、高3。よろしくな」
千秋 「高2の千秋です。てか、ちゃんはやめてください」
悠人 「え、この人の年齢につっこみなし!?」
千秋 「うちの父さんに比べたらマシだっての。それで、樹との関係でしたね。
樹とは『友達を前提に』お付き合いしてもらっている関係です」
ラウル「……はい?」
千秋 「だって、樹の奴すごくかわいいんですよ!
甘い物好きなのに隠そうとするところとか、チョコレートに過剰反応するところとか」
ラウル「確かに面白くはあったけど、可愛いよりかっこいいだろ、あいつは」
千秋 「え、樹がチョコレートに反応するところ見たんですか!!
いいなあ。オレも樹と一緒に来たかった。なのに現実は……はあ」
悠人 「おまえ本当に先輩のこと嫌いなんだな」
千秋 「ああ、嫌いだ。オレの趣味じゃない。これなら樹の方が」
孤次郎「数十倍好みだ、だろ?耳タコだぜ、その台詞。
まあ、そんな風につれないとこがまたいいんだけどな」
悠人 「あんたって人は……」
千秋 「あー!!鳥肌がっ!!オレは向こうに行く!付いてくんなよ、フェロモン過多男!!」
悠人 「千秋!?」
ラウル「おい2人とも、ちょっと待てよ!わりぃ修啓、俺行ってくるわ」
修啓 「うん、頼んだよ」
ラウル「おう!!」
修啓 「……わざわざ時間を取ってくれるとは思わなかったよ。
それで、理解してもらえたのかな?もう僕は無罪放免でいい?」
孤次郎「ああ。悪かったな、疑ったりして。俺は獅子学寮長の孤次郎、高3だ。
これでも一流私立の寮長だからさ、不審者や怪しい奴には過敏になっちまってな」
修啓 「仕方ないよ。今の僕ら、見た目にすごく怪しいもんね。
でも、僕が悪い奴だったらどうするつもりだったの?これでも僕、結構強いよ」
孤次郎「ばーろ、それくらい見りゃわかるっての。
まあ、相手が誰であってもどれほど強くても、寮長として俺は負けねえけどな」
修啓 「すごい自信だね。今まで君の手で葬られた御仁はどれほどいたんだろうね」
孤次郎「さあな、終わったことは覚えてねえよ」
修啓 「千秋くん、いや千秋ちゃんと言った方がいいかな。
可愛い女の子だね。君の大切な人?」
孤次郎「鋭いな、おまえ」
修啓 「僕の愛しの聖雅に比べたら、わかりやすい男装だよ」
孤次郎「なるほどな。でも、残念ながら、俺の大切な人じゃない。
俺の恩人の大切な人だ。あの人のためにも、千秋を危険な目に合わせるわけにはいかない」
修啓 「『千秋』っか……。それは君の境界線?」
孤次郎「おまえっ……」
ラウル「おーい、修啓。戻ったぜ―!!」
修啓 「あ、おかえりー☆」
悠人 「すいません、修啓さんラウルさん。ほら千秋も」
千秋 「……悪かった」
修啓 「いやいや、戻ってきてくれたなら、問題なしなし。
それじゃあ話を戻そうか。とにかく千秋君は人気投票で第3位だったの。
ここまでOK?」
千秋 「はい、大丈夫です」
修啓 「ということで、君に投票してくれた人たちにお礼のメッセージを残してほしいんだ。
やってもらえるかな?」
千秋 「それくらいなら、お安いご用です。
それに、オレもオレを応援してくれている人たちにお礼を言いたいし」
修啓 「そうか、ありがとう。それなら早速お願いするよ」
千秋 「今このメッセージを聞いてくれてる人たち。こんにちは、千秋です。
オレへの応援、ありがとう。突然だったから驚いたけど、嬉しい。
知っての通り、オレの周りにはフェロモンを代表に変な奴らばかりだけど、
オレは負けないから。絶対に自称あしながおじさんとの賭けに勝って、
家政婦回避……じゃなくて、借金完済してやります。
これからも、応援お願いします!」
悠人 「……あの、コジロー先輩。なんでオレの耳を塞いでるんっすか?」
孤次郎「いや、悠人にはちょっと刺激的かなって思ってさ」
悠人 「どんな内容なんっすか!!」
千秋 「これでいいですか?」
ラウル「おう、大丈夫だぜ☆それにしても、借金って千秋、おまえ……」
修啓 「さてラウル。千秋ちゃんの賞品持ってきてもらえるかい」
ラウル「ん?おう。わかった。じゃあ、ちょっと行ってくるな」
孤次郎「協力感謝するよ、修啓」
修啓 「いえいえ、どういたしまして」
千秋 「いつのまに仲良くなってるんだよ」
孤次郎「何、千秋ちゃん妬いてくれてんの?気になるなら教えてやるぜ」
千秋 「ぜってえいらねえ」
悠人 「コジロー先輩も懲りないですよね」
ラウル「修啓、持ってきたぜ!」
修啓 「うん、ありがとう。それじゃあこれ、3位の賞品ね」
千秋 「あ、ありがとうございます」
悠人 「何もらったんだ?」
千秋 「えっと、これは……」
ラウル「ああ、中身はWiiスポーツを始めとしたWiiのソフトだぜ」
悠人 「あ、ほんとだ」
千秋 「でも、オレWiiの本体持ってないんですけど。それに、機械オン……」
修啓 「はいー、そこはオフレコで」
孤次郎「本体なら俺の部屋にあるぜ」
千秋 「げっ」
孤次郎「千秋ちゃん、ゲーム自体慣れてねえだろ。機械音痴だし。
俺が手取り足取り教えてやるよ。それでそのまま、もう一つの運動の方も」
千秋 「てめっ、放送禁止用語を出すな!!」
孤次郎「いや、禁止用語は出してないぜ。ちょっとピンクいだけでさ」
千秋 「いらねえ!誰がおまえの部屋なんかに行くかよ!!」
悠人 「千秋、オレと好大の部屋にもWiiあるけど」
千秋 「行く」
ラウル「うわー、即答」
孤次郎「なんだ、悠人。おまえもヤキモチか。いつも言ってる通り、おまえなら大歓迎なのにさ。
あ、でも、そこの赤毛君でもいいな」
ラウル「はあ!?俺!!!」
悠人 「いらない、結構、お断りします」
孤次郎「じゃあ赤毛くん。今夜俺と一発どう?テクニックと愛は保証するぜ」
ラウル「No, thank you!!」
修啓 「ラウル、英語になってるよー」
千秋 「おい、フェロモン過多男。ラウル先輩にまで手出すんじゃねえよ」
孤次郎「はいはい。ったく、最近みんな冷てえよな」
修啓 「でも、そんなところがたまらないんだよね」
孤次郎「よくわかってるぜ、修啓」
修啓 「当然☆」
悠人 「……このタッグ嫌だな」
ラウル「うんうん」
修啓 「さて、そろそろ時間だね。今日はありがとう、千秋くん、孤次郎くん」
孤次郎「いや、俺も楽しかったぜ。おもしろい奴にも会えたしな。
赤毛くん、寂しくなったらいつでも連絡くれよ」
ラウル「ひい!!俺はそんな趣味ないです!!」
千秋 「フェロモン星人!」
孤次郎「わかってるっての。じゃあ悠人、最後まで頑張れよ。
あと修啓、この煮干サンキューな」
修啓 「ありゃ、いつのまに。まあ、あげるつもりだったからいいんだけど☆
でも、孤次郎くん。君もなかなかの悪だよね。いつの間に盗ったんだい?」
孤次郎「このくらいチョロいぜ。修啓もまだまだだな」
修啓 「そうだね、たしかに一本取られたよ。これは修業しないとね」
千秋 「フェロモン!!」
孤次郎「はいはい。じゃあ帰るか」
【煙】
ラウル「うー、修啓ー。俺もう嫌だ。なんでイロモノ系の男にばっか好かれるの!?」
悠人 「コジロー先輩以外にも、あんなのいるんですか!?」
修啓 「ああ、噂の彼だね。でも、数年前の話なんだろう?」
ラウル「数年前だろうがなんだろうが、関係ねえの!!今でもたまに夢に見るんだよ。
あのまんまでかくなった変態が、超低い声で俺の名前呼ぶの!
『自分、いくつになってもほんまかわええな』って!!!」
悠人 「な、何なんですか、それ!?」
修啓 「小学生時代のストーカーだってさ。しかし、本当に強烈だね」
ラウル「だめだ、あいつのこと思い出したら気分悪くなってきた」
悠人 「気の毒に」
修啓 「ラウルは年齢の割に小さいからね。苦労してるみたい」
悠人 「修啓さんが大きすぎるだけだと思いますけど。
コジロー先輩と同じくらいありましたよね?何cmあるんですか?」
修啓 「たしか、187cmだっけな?」
悠人 「高っ!?」
修啓 「ちなみにラウルは159cmだよー」
悠人 「はは、それはそれは……」
ラウル「うー気分悪い」
修啓 「これじゃあ続けるのは難しそうだね。仕方ない。ちょっと休憩挟むか」
悠人 「そうですね。すいません、うちの先輩のせいで」
修啓 「いや、孤次郎くんよりもトラウマの方が原因だろうし、あまり気にしないで。
それじゃあ、またあとで☆」
ラウル「おえー、げぼげぼ」
悠人 「ラウルさん!?」