第一回キャラクター人気投票結果―2位―






修啓 「さあ、結果発表再開だよ☆」

悠人 「ラウルさん、大丈夫ですか」

ラウル「うう、だいぶ回復した。ごめんな、悠人」

悠人 「いや、元はと言えばオレの先輩が原因ですし、気にしないでください」

ラウル「おまえ、良い奴だなっ」

修啓 「さてさて、結果発表も残すとこ1位と2位だけになりましたが、
    ここまでの結果はどうでしたか? 解説のラウルさん」

ラウル「ふう、よし!そうな、結構面白かったと思うぜ。意外だったのは聖雅かな?
    陽やイヴァ、朱雀兄はわかりやすかったけど」

修啓 「ぶー、何それ。僕の愛しの聖雅に失礼じゃない?」

ラウル「へいへい。で、悠人はどうだった?」

悠人 「オレは何より樹が意外で意外で。正直心臓が止まるかと思いました」

ラウル「千秋ちゃんの方がわかるってか?」

悠人 「まあ、千秋はかわいいですからね」 

ラウル「なるほどな」

修啓 「とまあ、僕らとしても楽しみながらやってきた結果発表。
    いよいよ第2位の登場です! ラウル、予想は?」

ラウル「ここまで来たら、残すとこはあの辺か?」

修啓 「お、心当たりがあるみたいだね。じゃあ、悠人くんは?」

悠人 「オレの周りなら、順当に行ったらあとはコジロー先輩か王子かユーリかってとこですね。
    でも、コジロー先輩はさっき来てましたし」

修啓 「僕が呼んだわけじゃないけどね。
    それと王子くんとユーリくんは、残念ながら当時はまだ登場してなかったからなあ」

悠人 「あ、そうか。じゃあ、もう思いつかないですね」

ラウル「案外悠人ってこともあるかもよ?」

悠人 「は? いや、ない。ないです、ないないない」

ラウル「そんなに否定しないでも」

悠人 「と、とにかく修啓さん。そろそろ発表してください」

修啓 「そうだね。ここのタイムリミットも近いし。
    それじゃあ、つぶやきの塔キャラクター人気投票、第2位。
    『the Pure Grim Reaper』より、紫藤右京くん、しょうかーん!!!」




【桜の花吹雪】




志紀 「わっ!?」

右京 「志紀!! 大丈夫か、おいっ!?」

志紀 「だ、大丈夫。右京のおかげだよ、ありがとう。それよりも右京は……」

右京 「だだ、大丈夫に決まってんだろ! バカにしてんのか、アホ!!」

ラウル「いや、アホはおまえの方だから」

右京 「ララララ、ラウルっ!? てめ、いつからここに!!」

ラウル「ずっといたっての。で、そろそろ志紀を放してやれ」

右京 「え……おわっ!?」

志紀 「ご、ごめん……」

右京 「バ、バカ野郎! てめっ、赤くなってんじゃねえよ!!」

志紀 「し、仕方ないでしょ!」

修啓 「やっほー、右京くんに志紀くん。相変わらず仲良しさんだね☆」

志紀 「しゅ、修啓先輩まで!?」

右京 「てかてめえら、なんだその水色スーツフリルシャツにピンクのバカでかい蝶ネクタイは!
    それにこんな変な所に呼びだしやがって。ここどこだよ」

修啓 「あっははー、いいでしょー。あげないよー」

右京 「いらねえよ!! てか、ここはどこだって聞いてんだよ!!」

修啓 「ああ、狭間の世界?」

右京 「説明になってねえ!!」

ラウル「まあ右京、少し落ち着けっての」

悠人 「うわ、なんかちょっとデジャブ。これで銀髪だったら……」

志紀 「あれ? ラウル先輩、この人は?」

悠人 「あ、えっと、あんたは確か志紀ちゃんだったよな?」

志紀 「えっ、なんで私のこと……」

悠人 「ええっと、イヴァにメッセージくれただろ? ほらDVDの」

志紀 「あ、あのDVD。もしかして、あなたがイヴァに渡してくれたんですか?」

悠人 「いや、オレがってわけでもないんだけど。でも、イヴァの奴喜んでたよ」

志紀 「本当ですか? よかった。私なんかのメッセージで良かったのか、不安だったから。
    ありがとうございます、えっと……」

悠人 「ああ。オレは悠人、君も高2だろ? だから敬語はいらないよ」

志紀 「うん、ありがとう悠人くん。私は桐堂志紀です。よろしく……」

右京 「しなくていい、アホ」

志紀 「う、右京!?」

右京 「おい、DVDって何の話だよ。オレはそんな話聞いてねえぞ。
    つか、そこのてめえ。このアホに一体何の用事だ」

志紀 「右京!? 初対面の人に何言ってるの! 大体、DVDの話だって右京には関係……」

悠人 「いや、いいんだ志紀ちゃん。
    心配しなくても、イヴァくんへのメッセージに協力してもらっただけだよ、右京」

右京 「だから、その話を聞いてねえって言ってんだよ。
    あと、勝手に呼び捨てにするんじゃねえ」

志紀 「右京!!」

悠人 「あ、悪い。知り合いに似てるもんだから、つい。ほんと、ごめんな」

右京 「チッ、もういい」

悠人 「あは、ははは」

ラウル「うわあ、乾いた笑いだ」

悠人 「ラウルさん。右京くんって本当に噂通りの人ですね」

右京 「あ? 噂だと?」

ラウル「あー! 悠人、ちょいストっ!!」

悠人 「超短気な超美青年で……」

ラウル「あー!!!! 言うなっての!!!?」

右京 「おい、くそ赤毛……」

ラウル「は、はい!!」

右京 「ちゃんと説明してもらおうか。そこの七三眼鏡も逃げんじゃねえぞ」

修啓 「失礼な。僕は逃げるつもりはないよ。必要性も感じないし」

ラウル「修啓!!」

志紀 「右京、ストップ」

右京 「のわっ!?」

悠人 「ええっ!?」

ラウル「さすが志紀。あの右京を髪の毛引っ張って止めるなんて、俺には真似できねえ」

右京 「何すんだよアホ!!」

志紀 「それはこっちのセリフ。人の話は最後まで聞かないと。
    すいません、先輩。それに悠人くんも」

悠人 「いや、オレは別に」

右京 「チッ、くそ! 勝手にしろ」

悠人 「あ、右京!? ……行っちゃったよ」

志紀 「心配しないでも大丈夫だよ。右京は短気だけど、帰ったりはしないだろうから。
    少し歩いたら、すぐに戻ってくるよ。
    そういえば、さっき途中で邪魔が入ったけど、何か言おうとしてたよね?」

悠人 「ああ。超短気な超美青年の後のやつか。
    『素直じゃないけど、仲間想い』なんだろ。なんとなくだけど、わかる気がするよ」

志紀 「……ありがとう、悠人くん。そう言ってくれて。本当に、ありがとう」

悠人 「いや、思ったことだからさ」

志紀 「うん。……そういえば修啓先輩。なんで私たち、こんなところに呼びだされたんですか?」

修啓 「ようやく僕の出番だね☆
    実はね、晏先生からも聞いたと思うけど、少し前に人気投票をやってたんだ」

志紀 「はい、聞きました。でも、それが一体?」

ラウル「つまり、あそこの不貞腐れ右京が2位だったんだよ」

志紀 「えっ、右京が2位ですか!?」

悠人 「ああ。オレはここで修啓さんたちと結果発表の司会をしているんだ。
    右京の票数は……」

修啓 「13票だね。さすが右京くん」

志紀 「13票っ!?」

修啓 「うん。それに右京くんにはファンがすごく多くてね」

志紀 「ファン、ですか……」

ラウル「ん? 志紀、どうかしたか?」

志紀 「えっ。な、何でもないよ。大丈夫」

修啓 「ああ、なるほど☆
    ……とにかく右京くんの人気はすごいよね。『断然右京派』って人の多いこと多いこと」

志紀 「……そうですよね。右京って短気だけど、かっこいいし頼りになるし。
    悠人くんの言うとおり仲間想いで、時折すごく優しかったりしますから」

ラウル「志紀……」

志紀 「でも、それなら私はお邪魔虫ですね。ごめんなさい。成り行きとは言え、付いてきちゃって。
    私、向こうで待ってます。終わった頃に戻ってきますね」

ラウル「おい、志紀!!」

志紀 「大丈夫、ラウル先輩。司会、頑張ってね!」

ラウル「そうじゃなくて!! ……あー、行っちまった」

修啓 「悠人くん、よかったら志紀くんの様子、見に行ってくれないかな?」

悠人 「構いませんけど、オレでいいんですか?」

修啓 「ああ。たぶん君が一番いいはずだよ。よろしく頼んだからね」

悠人 「はあ。じゃあ、いってきます」

ラウル「……で、どういうつもりだよ、修啓」

修啓 「はい、何のこと?」

ラウル「おまえ、わざと志紀が気にするような言い方しただろ。
    なんであんな言い方を」

修啓 「理由はあとでちゃんと説明するよ。さて、そろそろかな」

右京 「おい、てめえら。あいつに何をした」

ラウル「う、右京!? 突然現れるな!!」

修啓 「やあ、ようやく来てくれたね、右京くん。別に僕たちは何もしてないよ」

右京 「嘘言え。あのアホがここにいないのが何よりの証拠だ。
    何をしたんだ。返事次第じゃ、ぶっ飛ばす」

ラウル「右京、おまえ……」

修啓 「本当に何もしてないって。ただ、人気投票の第2位が君だったって話をしただけだよ」

右京 「人気投票、だと?」

修啓 「少し前にね、僕たち神焔学園関係者と悠人くんの獅子学園合同の人気投票を行ったんだ。
    その結果、君は13票獲得して、第2位だったんだ。
    それでそのお祝いも兼ねて、今回この場所へ君を呼びだしたってわけ」

右京 「チッ、くだらねえ。勝手にやってろ」

修啓 「ラウル、右京くんを捕まえて」

ラウル「お、おう」

右京 「て、てめえ、何すんだよ!!」

修啓 「残念だけど、まだ行かせないよ。
    大丈夫。志紀くんは悠人くんが追いかけてくれてるからさ」

右京 「余計に大丈夫じゃねえ!!」

修啓 「早く行きたいんだろ?僕は僕たちの義務さえ果たせれば、君がどうしようと干渉しないよ」

右京 「……何が言いたい」

修啓 「つまり、投票してくれた方々へのメッセージを残して、
    賞品さえ受け取ってくれれば、あとはどこに行っても構わないよってこと」

ラウル「そういうことかよ。相変わらず鬼だな、おまえ」

修啓 「さて、どうするんだい?こうしている間にも時間は刻一刻と過ぎていくよ」

右京 「……わかった。やればいいんだろ。おい、ラウル。逃げねえから放せ」

修啓 「ラウル、放してあげてもいいよ」

ラウル「お、おう」

修啓 「それじゃあ右京くん、お願いするよ」




右京 「チッ、紫藤右京だ。なんかよくわからねえが、人気投票の件は感謝する。
    けど、わりぃがオレはあいつを探しに行かないといけねえ。
    だから、これくらいで勘弁してほしい。

      ……修啓、これでいいだろ。早く賞品渡せ。オレは行く」


修啓 「必死だね。何故君は今、そんなに必死になっているんだい?
    君にとって、志紀くんは何だい?」

右京 「……何とかそんなの関係ねえ。
    ただ、あいつのへらへらした顔が横にねえと落ちつかねえんだよ。悪いか」

修啓 「そうか。ラウル、賞品渡してあげて」

ラウル「お、おう。はい、これだ」

右京 「ああ。これでもう文句はねえな。行くぜ」

修啓 「うん、構わないよ。協力ありがとうね、右京くん」

ラウル「……行っちまったな。で、修啓。なんであんなことをしたんだ?」

修啓 「んー、僕からの警告かな。早く大事なものに気付かないと、後悔するよってね。
    だってさ、せっかく互いが互いのことを想っているのに、気付かないなんて勿体ないと思わない?」

ラウル「修啓、おまえ……」

修啓 「もう、あまりにも不器用で腹が立っちゃったんだ。だから、口を出したわけ」

ラウル「そうか」

修啓 「あとは、ああでもしないと右京くんが素直にコメント残してくれるはずがないかなと。
    何せ、相手はあの右京くんだし」

ラウル「あー、否定したいけど否定できねえ」

修啓 「さて。無事に2位まで終わったし、僕らは第1位発表の準備でもしますか」

ラウル「そうだな。で、第1位は誰なんだよ」

修啓 「はい、これが結果だよ」

ラウル「……おい、まさかおまえここまで考えて」

修啓 「さあ、それじゃあ最後行ってみようか!」

ラウル「また流したな、おまえ。まったく、しょうがねえな。
    ほら、さっさと行こうぜ」